70年代に建てられた、建築家、原広司設計の住宅、粟津潔邸が、アートスペースとして一般公開された。こけら落としで開催されているのは吉國元さんの個展「根拠地・粟津邸からはじまる」。空間体験をお伝えしたく、前後編でレポートを書いてみた。今回は後半です。
細長い子供室も、想像以上に絶妙なサイズで安心感のある”こもれる”空間だった。ほかの、パブリック的な空間はタイル貼りなのに対し、寝室はフローリング貼りで、床で差別化されている。窓の配置は、低めに設置され、庭の緑だけが見える。トップライトがあったり、アトリエに通じるガラス窓、空気を循環させる小窓もある。居心地良さそうな部屋だ。
壁の向こう側は、アトリエ。掘り炬燵形式のデスクの足元に、風抜きの小窓がある。空間に合わせて飾られた絵が、曇りガラスと呼応して爽やかな印象になっていた。
超広角写真になってしまったが、アトリエの全体を写した写真。左側の壁の裏側が子供室。
多くのアーティストとの交流の場でもあった、粟津邸。アトリエであり、実験場でもあったそうだ。
左奥は、書斎的な空間で、裏動線にもなっている。右手に曲がるとトイレや浴室といった水回りと、和室があり、更に2階へ上がる裏動線の階段もある。奥行きのある空間だが、ぐるぐると回れ、行き止まりがない。
ダイニングから見た、ホール。先にはアトリエに展示された絵が見えている。(この写真も少々広角、、)
キッチン入り口付近に展示された、赤ん坊を抱くお母さんを描いた作品。壁は設備に使われていた様子だ。
空間の魅力と、アートの温かさを体験でき、とてもいい時間を過ごせた。一般公開され、巨匠が50年前設計した住宅を体験できる、ということは素晴らしいと思う。それにしても、写真ではボリューム感が表せないなあ、と。
原広司氏といえば、代表作は京都駅や梅田スカイビルといった大きな建築だが、粟津邸は、京都駅に似ているところがたくさんあり、そこも非常に面白かった。
「アートと住宅建築を見に行く-02」
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